Lazy Prediction

こんにちは。
A Study In Secretsの新沼研です。

本日ご紹介する作品は、少々特別な作品です。

テーマは、「観客が観客に演じる奇跡」

観客が「マジシャン役」を演じる演出は、過去にもありました。

しかし、それらの作品の多くは、不思議というよりギャグに近いものであったり、「マジシャン役」の観客には、タネの一部（または全部）がわかってしまうものが大半でした。

「Spectator VS Spectator」は、本当に「観客が観客に演じる奇跡」をテーマとする作品群です。

文字通り、観客がマジシャンのように不思議な現象を再現し、他の観客を驚かせます。そしてさらに、演じている観客自身もなぜ不思議なことが起こるのかわかりません。

「Spectator VS Spectator」第一弾は、「Lazy Prediction」。怠け者すぎるマジシャンの代わりに観客が「ありえない予言」を演じてしまいます。

まずは現象からお読みください。

赤裏・青裏、二組のトランプを使ったマジックです。

観客の数は３０人程度。パーラースタイル（日本ではサロンとも呼ばれます）で演じているとします。

「ちょっと疲れてしまったので、次はあなたが代わりに演じてもらえますか？」

怠け者のあなた（＝マジシャン）は、観客に「予言のマジックを演じてほしい。」と言って、一人の観客を皆の前に上げ、「マジシャンになれる」おまじない（！）をかけます。（トップハットをかぶせても良いでしょう！）。

「はい！これで本当に予言マジックができますから！セリフはこれを見て。」
そう言って、台詞が書かれたインストラクションカードまで渡してしまいます。

マジシャン役の観客を観客Mとします。

観客Mにもう一人手伝ってもらう観客（観客S）を自由に決めてもらいます。

あなたは観客Mに赤裏のトランプを渡し、

「どれでも良いので、これからSさんが選びそうな予言のカードを一枚決めてください。大丈夫ですよ。あなたがマジシャンなんだから自信を持って！」

と言います。

観客Mは戸惑いながらも、一枚のトランプを予言として決めます。
「マジシャン」は観客Mですから、予言のカードは（あなたを含め）他の誰にも見せません。

「それではSさん、52までの数字で一つ好きな数字を決めてください。」
観客Mは観客Sに自由に数字を決めてもらいます。（例えば３０）
青裏トランプを観客Sに渡し、トップから決めた枚数だけカードを配ってもらいます。

「Sさん、あなたは全く自由に３０という数字を決めました。私の予言を見せましょう。私の予言は、ハートの５です！」
ここで初めて観客Mに予言のカードを宣言してもらいます。

観客Sが選んだカードを見ると、信じられないことに「ハートの５」です。

拍手喝采を浴びて客席に戻る「観客M」は隣の観客から、「どうやったの？」と聞かれることでしょう。そして、観客Mは答えます。「自分が一番驚いている」と。

「マジシャン役」の観客にはタネの一部や全部がわかってしまう作品は過去にもありました。

しかし、「Lazy Prediction」の特徴は、マジシャン役である観客も「なぜ自分の予言が当たったのか全くわからない」点です。

マジシャン役の観客はトランプの表を見て、自分で一枚のカードを決めます。

正に自分がマジシャンであるかのように、自分の意思で予言のカードを決めるのです。

さりげなく特定のカードを選ばせるという指示や、事前の打ち合わせ等は一切ありません。

他の観客はもちろん、「マジシャン」を演じた観客自身、味わったことのない不思議体験をするでしょう。

「現象」はサロンマジックの形式で表現しましたが、もちろんクロースアップであっても全く問題なく演じる事が可能です。

演出が「怠け者マジシャン」だからと言って、トリックも「怠け者」ではありません。

「観客が観客に演じるありえない予言」を実現するために、「Lazy Prediction」のために構成した、トリックデック、原理、そして特製ギミックを用いています。

特に、以前からずっとアイディアだけ温めていたものを、ようやく実現可能な特殊素材を見つけ、満足のいく形に仕上げたのが、特製ギミック「Lazy Man's X-Ray」です。

「Lazy Man's X-Ray」は応用範囲が広く、他のメンタルマジックに幅広く応用することができます。

「Lazy Man's X-Ray」だけで、４千円以上の価値があるでしょう。

完全手作りギミックで、100セット限定生産となります。

予言トリックについて一度、整理をしておきたいと考えていました。

予言トリックを作るためには、基本的に三つのアプローチしかありません。

その三つのアプローチを頭に入れておくことで、予言トリックが格段に考えやすくなります。

三つのアプローチそれぞれのメリット・デメリットを考察し、まとめました。

予言トリックがお好きな方は必読の内容です。