with

続いて、もう一つの作品「with」をご紹介します。

「with」は、新沼研による、「Love Bites」「pairs」「pianissimo」に続く、「The Lovers」シリーズ第四弾の作品です。

あなたは、半分に切れたトランプを取り出します。

カップルの観客にお手伝いをお願いします。

トランプを半分ずつ、二人の観客にそれぞれ渡します。

二人の観客にそれぞれ、自分のトランプを二つの山に分けてもらいます。
そして、それぞれ残す方の山を自由に選択してもらいます。

二択の選択を繰り返し、最後には、各々ラスト一枚になるまで二択を繰り返してもらいます。

全ての選択は観客の自由な意思で行われ、選択が一つでも異なっていれば、違う結末になっていたことが常に示されます。

最後に残った二枚を表向けると、二枚は見事に一致し、「運命の一枚」が完成します。

観客が自分でカードを二つに分けて、残すカードの選択を行う。最後の一枚になるまで繰り返す。

「with」の選択過程は非常にシンプルです。

シンプルであるが故に、マジシャンの介入の余地があるようには見えません。

「あの時、反対を選んでいたらどうなったのだろう」という不思議さは観客に強烈なインパクトを残します。

「with」を演じれば、一般の観客であれ、マジシャンであれ、「え？なんで自分はこのカードを残してしまったのだろう。」と言うことでしょう。

「with」の原理をベースにした3つのボーナス手順が付属。

同じ原理をベースに「偶然の一致」「カード当て」「予言」という三種類の最終形を紹介します。

「レギュラーサイズのデックで演じたい」「カップル向けの演技はあまりしない」という方も納得いただける、正統派メンタルカードマジックが収録されています。

通常の大きさのデックで演じるルーティーンです。
二人の観客にカードを覚えてもらいます。

二人の観客は各自、自由な選択によりカードを減らしていき、最終的に一枚のカードを残します。

なんと、二人は自分の選んだカードを最終的に残してしまうのです。

通常の大きさのデックで演じるルーティーンです。
二人の観客は各自、自由な選択によりカードを減らしていき、最終的に一枚のカードを残します。

最終的には、残った二枚はメイトカード（A♡、A♢など）となります。

「with」にさらなるクライマックスを加えた手順です。

半分に切られたカードを二人の観客に自由に減らしてもらい、最終的に2枚のカードが残ります。

2枚のカードが一致して、一枚のカードになるだけでなく、最初から予言されていたことがわかります。

「マジシャン」と「一般の観客」、マジックで驚かせることが難しいのはどちらでしょうか。

ある観点に立てば、どちらを驚かすことも、難しさは同じです。

ある観点とは、人は「どういうトリックのタネは追うことができて、どういうトリックのタネは想像することさえできないのか」という法則です。

この法則は、「マジシャン」であっても「一般の観客」であっても変わりません。

そしてこの法則を理解して応用すれば、マジックを考えるときは常に、

「タネを◯◯◯◯しなければいけない」という大原則が導かれます。

よくマジシャンは、一般の観客はマジックのタネを知らないからマジックが不思議に見えるのだと勘違いをしています。

これは重大な勘違いで、マジックの知識があってもなくても、不思議に見えるときは見えるし、不思議に見えないときは見えないのです。

私は過去に「マジシャンが見てもタネが追えない」トリックをいくつも発表してきました。
それは、常に「タネを◯◯◯◯しなければいけない」という原則を意識した結果です。

「タネがわからない」マジックを考えるという意味では、過去に書いたNotesの中でも最も重要な秘密の一つでしょう。

「with」が出来上がるまでの背景を辿ると共に、その重要な秘密を公開します。